こんにちわ、すずらんです。
今日もブログをご覧いただきありがとうございます 🙂
今日は映画『紙の月』の感想、考察です。
「ふふふ・・・女はたくましいのよ」と映画は笑う。だって偽物ですからと。
目次
映画『紙の月』
映画『紙の月』特別映像はコチラ♪(今回は予告編ではなく特別映像を載せてみました)
映画『紙の月』感想・考察
この前、ブログ
映画『紙の月』感想や考察~美しき犯罪者が問う!与えることの本質~
と題して、この作品のテーマでもある「与える」というものの本質について、また吉田大八監督について考察しました。
さて、今回は!
と致しまして、宮沢りえ・大島優子・そして小林聡美の3人の女優について、3つのキャラクターが示すものについて考察していきたいと思います。
この作品のあらすじやキャスト、スタッフなどの情報はコチラをご覧下さい。
宮沢りえの爽やかさ
プロフェッショナル仕事の流儀『もっと、自分を疑え女優・宮沢りえ』
の記事で考察しました「宮沢りえの爽やかさ」。
『紙の月』では彼女独特の爽やかさが、余すことなく表現されていました。個人的にはあの『湯を沸かすほどの熱い愛』の宮沢りえより好きかも!
中でも、彼女の爽やかさが最も引き立っていたのが、梨花が逃亡するシーンです。
※以下ネタバレします。
横領の罪を銀行内で問い詰められ、2人きりになる宮沢りえ演じる梅澤梨花と、小林聡美演じる隅より子。
まずは、この2人のシーンが本当に見事です!
より子は梨花に言います。「最近あなたのことをよく考えるの。私ならどうしてたかって」。
梨花とより子という全く違うタイプの人間が、実は心底では、同じ「自由」というものを欲していたという衝撃。
私には、この2人の人間が、同じ1人の人間であるかのように見えてしまう瞬間があって、つまり1人の人間の中で2つの人格が起こす心の葛藤のシーンのようにも見えたんです!
シェイクスピアのハムレットの中でのあの有名な!「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」みたいな・・・。(極端かもしれませんが 😳 )
そして「うわーどうなるんだ!?ここで梨花捕まっちゃうのか!?」と思ったその瞬間!
梨花が部屋の椅子を持ち上げ、窓ガラスに叩き付け、ブチ破るんです!
ここも衝撃だったんですけど、更に!
割れた窓から逃げようとする梨花、引きとめようと彼女の手を掴むより子。
その瞬間!梨花が一言、
「一緒に来ますか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・見事でした。
窓から飛び降り逃亡する梨花と、逃亡せず今いつ場所に残ったより子。
同じものを欲していた2人が、全く逆の人生の選択をした瞬間。名シーンです!
1人の人間のようにも見えていた私の目には、一瞬溶け合った人格が再び枝分かれしてしまったようにも見えて、ちょっと神秘的なシーンにも映ったんですよね。
そして、全速力で走り逃亡する。犯罪者、梨花。
この走るシーンでの宮沢りえ。爽やか過ぎます!そして美し過ぎます!そして、ご覧いただくとお分かりかと思いますが、このシーンの撮影はめちゃくちゃいいです!
とても横領の罪を犯した人間には見えないでしょ。この表現は宮沢りえしかできないです。あの生き様の女優にしかできないです。
自分自身の道理でもって、自分を正当化するが故に、枠から飛び出さずにはいられない人生。
惜しかったのはラブシーンですね。中途半端すぎちゃってて・・・だったらいらないシーンだと思います。
お局をリスペクトさせる小林聡美
小林聡美演じる隅より子。一見「ああこういう人いるいるー」と一言で済ましてしまいそうな、いろんなドラマでいかにも出てきそうなお局的なキャラクター。
彼女が演じることで、今までのフィクションにおいては、見たこともない独特のキャラクターとして息づいていたのではないでしょうか。
監視の目を向ける姿に「厳しいなー」っと感じてしまいがちなところを、彼女が演じるとそれだけにとどまらない、どこまでも繊細に周りに目が届く人間。それだけ周りをしっかりと見ている人間にも映る。
あまり変わらない表情に「冷たいなー」っと感じてしまいがちなところを、彼女が演じると、それだけでない、どこか達観して物事を見れる人間。他の人が持っていない俯瞰力ある人間にも映る。
小林聡美ってやっぱり凄い。短絡的でなく一辺倒でなく・・・彼女が演じると魅力的な1人の人間になっちゃうんです!
最後には、隅より子のキャラクターが大好きになっていました。尊敬する部分、見習いたい部分もたくさんありました。お局キャラクターをここまで思わせるってすごい!
恐らく別の女優がこの役を演じたら、ここまで深い人間味は表現できなかったと思います。
惜しかったか大島優子
大島優子が演じた相川恵子というキャラクター。
このキャラクターは『紙の月』において不可欠だなって思います。
生きづらいとも言われてしまっている現代社会において、みんなが梨花やより子のように葛藤しながら生きている。
と思いきや・・・・・・・!?
実は、それを受け入れて生きている人間もいるんだということを表現しています。しかも!びっくりするくらいあっけらかんと!
ある種どこかで、現代社会に対してあきらめていて、そこからどう小器用に生きていくのかということしか考えていない。
だから人生の選択もどこか機械的で味気なくって。まるでロボットみたい。そこには罪悪感さえもない。
「だってそうする以外ないでしょ」「何かあるの?」「そういないと私達生きていけないでしょ?」とも言っているかのような。
もしかしたら、実は・・・
最も悲しいキャラクターなのかもしれません。
あなたは、この現代社会が生み出したキャラクターに何を感じますか?
相川恵子を演じた大島優子。AKB時代でのサービス精神や明るい彼女自身の魅力を、そのまま使うのではなく、ものの見事に小悪魔の魅力へと生かす形で演じていましたね!
とてもよかったんです・・・よかったのですが・・・宮沢りえと小林聡美があまりにも凄すぎて、2人と比べると・・・ウーン・・・もっと観客に強く感じさせるものがあってもよかったのかもしれません。
悲しさとか虚しさとか・・・そこまで深い所まで・・・。
1つ1つの仕草とかは、きっとすごく研究されて演じているんだろうなーとは思ったのですが。惜しい!
映画『紙の月』まとめ
これらたくましい3人の女性に比べ、なんとも弱々しく、甲斐性なく、卑怯にも描かれてしまった、男性達。
今回は考察しきれませんでしたが・・・ 😳 これらのキャラクターを見事に演じ切った池松壮亮、田辺誠一、近藤芳正・・・。
女性陣だけでなく、彼らにも是非注目してご覧になってみて下さいね。
女はこんなにもたくましいのよ・・・ふふふ・・・ 😎
映画『紙の月』おまけ
『紙の月』ってドラマ版があったんですねー!知らなかった・・・ 😮
更になんと!ドラマ版『紙の月』の主演は・・・意外なんですけど原田知世なんですね。
彼女の年を重ねてからの仕事の選び方とか、演技とか・・・私的にはどうみても「枠から飛び出す人生を自ら選択しない」イメージの女優さんでして、
彼女は一体どんな姿を魅せていたのでしょうか?めっちゃ気になるんですけどー!・・・見れたらまた考察しまーす 🙂
映画『紙の月』はHuluでもご覧いただけます。
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それでは、今宵は、この辺で・・・ 🙂