こんにちわ、すずらんです。
今日もブログをご覧いただきありがとうございます 🙂
今日は映画『ゆれる』第2弾の感想、考察です。
現代社会を颯爽と生きる人間が、無意識に失ってしまう大切なもの。
その悲しみと虚しさに気付いた時、本当の人生が始まる。
なお、映画『ゆれる』の第1弾の記事につきましては、
をご覧下さい。
目次
映画『ゆれる』
映画『ゆれる』予告編はコ
映画『ゆれる』感想・考察
見終わっても、不気味なくらいに淡々と心を突き刺し続ける、映画『ゆれる』。
ズバリ!西川美和監督の最高傑作。
この前はブログ、
にて、香川照之演じる早川稔の人生を中心に考察をしました。
さて今回は!映画『ゆれる』第2弾!と致しまして、
早川稔の弟である、オダギリジョー演じる早川猛について考察していきたいと思います。
映画『ゆれる』のあらすじやキャスト、スタッフなど‥
作品についての基本情報につきましては、
をご覧下さい。
弟、早川猛の恵まれた人間の悲劇
それぞれに、あまりにも違い過ぎるものを持ち合わせて、この世に生まれてきてしまった兄と弟。
兄に比べ、恵まれた容姿で持って生まれ育ってきてしまった、弟の早川猛。
更に仕事もできちゃう、器用、そこそこ頭もいい、要領もいい、そしてモテる・・・。
兄が自分に抱く強烈な劣等感や、親との葛藤は見て見ぬふりをする、早川猛。
自分の生きたいように、自由に、そして苦しいものは上手に避けつつ、楽な方へ楽な方へと進んできた人間なのだと思います。
でも、それを否定することってできないですよね。
だって”不快→快”に向かうおうとするのって人間の本能だし、自分の得意分野や長所があったらそれらを頼りにして、そっちへと行きがちなのは当然のことだと思うし。
人間ってそういう生き物だと思います。
でもそのことが、本当に大切なものを見失わせ、気付かないまま人生を歩ませてしまう。
悲しくも・・・。
たとえば、留置場にいる兄の早川稔との面会のシーン。
兄をなんとかなだめ、話しをしようとする弟の早川猛。
猛本人は精一杯なのかもしれません。でも、本当の本当のところで兄を向かい合えてない。どこかで、ごまかしごまかし会話をしている。人と真正面から向かいあえない。もしかしたらそのことにすら本人は気付けていない!?
きっとそうやって、今までずっと、ごまかしごまかし人と付き合ってきて、うまいこと生きてこれちゃった人間。
映画『ゆれる』での早川猛を見ていると、その悲しさや虚しさが痛い程伝わってきます。
現代社会において、
「めんどくさい」
って言葉。よく飛び交いませんか?
正直、私も使ってしまいます。
「この事めんどくさい。」「この人めんどくさい。」
こうやってめんどくさいめんどくさいって言うことで、逃げてきたもの失ってきたもの結構あるのかもしれない。
いつも時間に追われながら都会に生きる人なんか、ハッとするかもしれません。
実は私、映画『ゆれる』を初めて見た時は、兄の早川稔に共感することが多かったんです。
観客も早川稔への共感の方が多いんじゃないかなーと思ったりもして。
でも、今現代の生きにくい世の中で、なんとか上手く渡っていく術を、否応なしに身にまとってしまった私達。
弟の早川猛から学ぶものは多いのかもしれません。
映画『ゆれる』後半の名シーン2連発はこれ!
まず、早川猛が幼い頃のフィルムを見るシーン。
幼い頃の兄と弟が一緒に吊り橋を渡っているフィルム。
兄は本当は高い所が怖かった、だから智恵子にしがみついてしまったということが分かる、衝撃のシーン。
あのフィルムを見た瞬間、自分にとっての兄とはなんであったのか。兄の本当に自分がどれだけ気付けていなかったのか。本当に大切なものは何か。
体中で分かる瞬間。映画『ゆれる』の名シーンです。
そして、ラストシーン。
本当に大切なものを取り戻そうと
刑期を終えてバスに乗り込む瞬間の兄に、声を張り上げる早川猛。
「にいちゃん一緒に暮らそう」
これが、早川猛の本当の偽りのない言葉です。
映画『ゆれる』は恵まれた人間が歩む、悲劇性を伝えたかったのかもしれません。
気付いたら偽物だらけに囲まれ、偽物の人生を歩んでしまっていた。
そして、本当に大切なものに気付いた時は、その大切なものは失っていて、もう手遅れ。取り返しがつかない。
「にいちゃん一緒に暮らそう」
映画『ゆれる』の忘れられないシーンです。
映画『ゆれる』まとめ
最も大切なものを失った、弟の早川猛。ここから彼の本当の人生は始まるのだと思います。
苦しみをもって再生し、各々が本当の自分の人生を歩み始めた、早川稔と早川猛。
2人が寄り添いながら一緒に生きることは、もう二度とないのかもしれません。でもどこか見えない所で、ずっと繋がっている2人なのだと思います。
今回は弟の早川猛を中心に考察しました。
兄の早川稔を中心に考察した、
とあわせて楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、今宵は、この辺で・・・ 🙂